今週の心の童話

ジョイ猫物語 第一章(4)

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あと二百メートルというあたりで、よろよろしながら歩いている白い猫をみつける。
塀から音もなく、すっと降りたジョイが声を掛ける。
『「おばあさん、大丈夫ですか?」』
白いふさふさの毛を持つ老いた雌猫は一瞬驚いて老体をくねらせた。が、すぐ気を取り直し老いた猫らしい深みのある声で応じる。
『「あなたが今日の主人公だね。私も集まりに向かっているのだけれど、この歳でねぇ、どうも思うようには走れなくってね。遅刻で迷惑をかけるのは、重々承知してるんだがねぇ・・・」』
と、語る老猫の言葉が終わらないうちに、ジョイは自分の背中に、老いて軽い体を必死に担ぎ上げ走り出す。
だが、ジョイの親切心も自らの限界を超えていた。彼女の体重でよろめく瞬間も度々あり、スピードが落ちた。
到着した時には、約束の時間をかなり過ぎていた。
 
同じ頃「セピアの館」の屋敷では、サムが見送ったジョイの後姿を思い出しながら物思いに耽り、人生を遡っていた。
サムの母親は、今で言うエスパーに近い女性であった。最近でこそ、ある程度認められるが、母の時代には属する教団から魔女呼ばわりされて追放された。

■今週の童話 (更新曜日: 毎週火曜日 )■
開始年月日<2018/7/27>  現在<25>回目

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