今週の心の童話

ジョイ猫物語 第四章(21)

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ジョイはオマール夫妻のこれらの会話をずっと聞いていて心配になってきた。普通ではない夫婦だとは思っていたが、これほどまでとは気付きもしなかった。
特に、これからあの屋敷で日中一緒に過ごすであろうナンシーが、単なる変わり者を超越している様子には、得体の知れないものを感じて・・・ジョイは驚愕(きょうがく)してしまう。
 猫のジョイは人間ナンシー以上に、人並みに近い感情を持つ猫になっていた。亡くなった飼い主サムからの影響でもあったのであろう。
真摯に生きてきた故人サムは、ジョイの気持ちへの感情移入も非常に豊かで細やかな配慮が出来る飼い主であったから・・・。
だが、今!前の席にいる女性のような楽天家。いや、それを通り越した奇人の存在に、恐怖とは異なる未知の不安を感じてしまう。『この人ナンシーには愛があるのだろうか。もし、あるとすればだが・・・どんな形の愛なのだろう』。
ジョイには、おそらくこの時点では理解できなかった。
本当のところ、ナンシーの愛は、ジョイがかじっていた愛の深さだけではなく、大海原のような広さにあった。ジョイはアルトベイク市に海がなかったので知らなかった。そんなジョイに対して、ナンシーの持つ愛の広さを認識させるのは、今だ見たことも聞いたこともない太平洋を想像させるようなものだ。不可能に近い。
だが、故人サムから吸収できなかった寛容なる広い愛を、この新たなる飼い主から学ぶこととなっていくのかも知れない。
第四章終わり 第五章へ続く

■今週の童話 (更新曜日: 毎週火曜日 )■
開始年月日<2018/7/27>  現在<16>回目

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