Mrs.ポピーの童話〈バックナンバー〉
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   テーマ:ジョイ猫物語 第四章(4)

『「あの・・少しだけ質問したいのですが、かまいませんか?」』
と、ジョイだ。
『「あら、どうぞ!ジョイ。何かしら?」』
『「実は、もうご存知かもしれませんが、僕の愛する主人が・・・先日、天国というところへいってしまいました。僕は・・・僕は・・・」』
と、ジョイを、悲しみがまたしても寄せる波のように襲いそうになる。
『「ジョイ!いいのよ。ゆっくりでいいので、話してみて・・」』。
モーリーが親切に柔らかな声で励ます。
アニーは今にも泣き出しそうな兄をみつめて心配そうに、グリーンの眼を曇らせる。ジョイは妹の表情に気付き、心を奮い起こす。
『僕は、兄なんだ。妹の前で泣くもんか』
と、涙を呑み込み話を続ける。
『「僕は、死というものについて分らないのです。モーリーは、どう考えているのか・・教えてくださいますか?」』
ジョイの質問に対し、真剣に考え始めたモーリーは遥か遠くを見るような眼で暖炉の炎をみつめながら答えた。
『「ジョイ、私はラブの父親、私の愛する夫を仲間によるリンチで殺され失いました。彼は、雄々しいライオンのような正義と愛に溢れる雄猫でした。彼といると・・自分が力強く生きられる!そんな感覚を引き出してくれたのです。でも、それが仇(あだ)となり正しい事を貫いたために死に至りました」』
『「え、そうだったんですか?死んだのですね。辛かったでしょうね」』
と、ジョイが型どおりの同情を示す。ところが、モーリーは微笑む。
『「ジョイ!あなたは本当に優しいのね。ありがとう!でもね、私はその時から今もずっと、死に関係して一つの確信があるのよ。多分、あなたの望んでいるような答えにはならないかもしれないけど、言わせて貰うわね、ジョイ」』
と、ここで一息入れてモーリーはジョイに向かって座りなおす。そして、はっきりした口調で続ける。



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