Mrs.ポピーの童話〈バックナンバー〉
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   テーマ:ジョイ猫物語 第三章(7)

ジョイの胸の内は、複雑だった。
『一体何が起きるのだろう。パームが来ていると言うことは、例の放火事件に関することだろうか』
ジョイには、この集まりの目的を知らされてはいなかった。しかし、複雑な思いはまだこれからであった。
ジョイは大木の根元にあるいつもの古いベンチの前にいる三匹の姿を見て、まん丸の眼を大きく見開く。
何と、ラファエルとローズメイとラブがベンチに向かってきちんと立っているのだ。ジョイの細身の体の中で、複雑な思いは不安に変わっていく。
他の四匹と共に、リーダー猫の一匹としてベンチに立ったジョイの眼は、先ずラファへ注がれた。ラファは、プリンスの異名にふさわしくブラウンの身をすっくと起こしている。つま先立ちでいる姿は非常にエレガントだ。いつもの額にあるM字模様もそのままだ。しかし今、ジョイにとってはラファの全てがなぜか辛かった。が、ラファの鼻の小さなくぼみを見た時は、不思議な安堵感を覚えた。
ジョイと眼があったラファはひそかにではあったが、微笑む。
『えっ?ラファよ、僕は安心していいんだな。親友として君を最後まで信じ続けるぜ』
心の中でジョイは語りかける。
もう一つ、ジョイの不安の対象はラブである。
『なぜ?ラブは何のために、ここに呼ばれたのか?事件と何の関わりを持っているのか?』
ドキドキする胸を抑えてラブをチラリと見てみた。
ラブはというと、いつもどおり温かそうなふさふさ毛を冷たい風に任せたままお茶目な表情でジョイを見返した。



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