テーマ:ジョイ猫物語 第三章(9)
ラブが隣で励ます。 『「大丈夫、大丈夫よ、メイ。よく話したわ、凄いわーメイ!」』 と、嬉しそうに語る。すると 『「オッホン!静粛に!無関係な猫の勝手な発言は、ここでは出来ませんので慎んでいただこう」』 どうやら、ここにラブが来ているのはメイの単なる付き添いらしいと、ほっとするジョイ。 そしてリーダー猫の質問は続く。 『「では、次にパーム!君は、メイ宅の火事は放火であると友人達に話しましたね?その根拠は何だったのですか?」』 パームは、その茶色がかったクリーム色の体を冬の寒さの為に普段より濃くしていた。スリムなその身は心なしか震えている。 いつもの流暢ではきはき動く舌が、この場では重くなってしまっていた。それでも、ぼつぼつと話し出す。 『「昔、放火事件があったそうで。その時の犯人が、また同じことをしたのではと思いました。放火犯は繰り返すことが多いと聞いたので・・・」』 『「その放火犯とは、誰のことを言っているのですか?」』 『「あの、それは・・・あの・・・」』 とパームは、黙ってしまった。老猫が今度は、トミーの方へ首の向きを変えて質問する。 『「トミー!君は、パームから、放火犯の名前を聞きましたね。それは誰でしたか?」』 『「あっ!はい・・・あのう、ラファエルだと」』 トミーは低い声で答える。 『「そうなのですか?パーム!」』 リーダー猫の質問が、またパームへ戻る。パームに、少しずつ反省の様子が伺えたのか、今度はリーダー猫が同じ質問を、優しく尋ねる。 『「そうなのですか、パーム」』 『「あ、はい・・・そうです。すみません」』 と、パームは自分の前肢(まえあし)にある黒いポイントに眼を落とす。
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